.funcを用いてLTspiceによるパラメトリック解析の方法

LTspiceによるパラメトリック解析の方法は、下記の通り。
◆.step param :パラメータスイープ, ※3素子までの制約あり(3階層まで)
◆mc(x, y)      :分布のX*(1+y)からX*(1-Y)間の乱数(モンテカルロ法)
◆gauss(X)     :標準偏差xの正規分布からの乱数
◆.func           :部品ばらつきをユーザ定義関数で定義
 

 

 

 
◆.funcを用いてLTspiceによるパラメトリック解析の方法
各部品のばらつきを考慮した解析、いわゆるパラメトリック解析をLTspice上で実現する方法を記載します。
回路とコマンドは下記のようなイメージ
 
 
【各コマンドラインの設定】
ツールバーの[TEXT]から設定します。
  
.func binary(run,index) floor(run/(2**index))-2*floor(run/(2**(index+1)))
部品のばらつき組み合わせをマトリクス定義する。この例題では0~15までの組み合わせ。なお、対称とする部品数は16個までで1,00 000通りまで。ただし、実際には5~6部品までが良い。
 
Rum
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
index
L1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0 1
0
1
 
L2
0
0
1
1
0
0
1
1
0
0
1
1
0 0 1 1
 
C1
0
0
0
0
1
1
1
1
0
0
0 0 1 1 1 1
 
C2
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1 1 1 1 1 1
 
.func wc(nom,tol,index) if(run==numruns,nom,if(binary(run,index),nom*(1+tol),nom*(1-tol)))
各部品のパラメータを最大値と最小値の間で変化させて、最後に公称値で実行する。
.funcにてwc(nom,tol,inex)という関数を定義する。
 
 
 
[例]
 Run=4, Index=2の場合(5回目,L2値)
・binary(4,2) =floor(4/(2^2))-2*floor(4/(2^(2+1))=floor(4/4)-2*floor(4/8)=1-0=1
・wc(2.2u,0.2,2) =2.2u*(1+0.2)=2.2u*1.02=2.244u
 
 Run=13, Index=1の場合(14回目,L1値)
・binary(13,1) =floor(13/(2^1))-2*floor(13/(2^(1+1))=floor(13/2)-2*floor(13/4)=6-6=0
・wc(2.2u,0.2,1) =2.2u*(1-0.2)=2.2u*0.98=2.156u
 
[部品の値]
L1  :{wc(2.2u,tola,0)}
L2  :{wc(2.2u,tola,1)}
C1  :{wc(10n,tolb,2)}
C2  :{wc(10n,tolb,3)}
 
[Run回数, 公称値]
.step param run 0 16 1
.param numruns=16
 
.step param run 0 16 1
パラメータrun を0から16まで1ずつ増加させる。
 
 
.param numruns=16
最大組み合わせ数を定義として公称値を設定
 
※部品数3とすると2^3+1回のシミュレーションが必要となる。
 (最大および最小組み合わせ+公称値)
 
注意!ただし、ばらつきを持たせられる部品数は16部品までのようです。 
ある程度感度低いものなどは予め除外するなどの工夫が必要。
 
[部品公差]
.param tola=0.2
.param tolb=0.1
各部品のばらつきを設定。
ここでは、tola:インダクタンスばらつき=20%、totb:コンデンサばらつき=10%
 
【解析設定】
・.meas Vmax Max V(out)
トランジェント解析の設定他に、最大値をmeasurementsで計測させます。
細かな設定は、[Text]→[.meas Vmax Max V(out)]と入力すると次回からはクリックで表記されます。
 
【解析結果】
をクリックして解析を実行する。
  
【試行回数を横軸に表示させる】
解析実施したら、[View]→[SPICE Error Log]をクリック
 
 
・表示されたLogファイルでMeasurement記載箇所までスクロールし、カーソルを該当結果箇所上にもってゆき右クリック。
[Plot.step'ed.meas data]をクリック
 
結果が下記のように表示され、max条件はstep=14であることが最大条件となります。
 

 

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